人の意識の構造とは?
人の意識の構造とは?
現代の精神分析の創始者であるフロイトは、人のこころを意識、前意識、無意識という3つに分類しました。
「意識」とは、いま頭の中に浮かんでいる言葉です。「今日のお昼は何を食べようかなあ…」は意識です。この部分が「私」であるような気がするかもしれません。でも、その情報量は100bps(毎秒100ビット)にしか過ぎないと言われており、あとで説明する無意識領域の情報量の100万分の1程度だそうです。
「前意識」とは、「昨日は何を食べたっけ?あっそうだ、来々軒のラーメンだった!」のように思いだそうとすると出てくる記憶や、「私が一番大切にするものは周囲の人たちの笑顔なんだ!」といった個人的な思いです。
「無意識」とは、思い出そうとしても出て来ない、考えても思い浮かばない、でも、何か浮かんできそうでモヤモヤする気分、感覚、説明できない感情など、要するに言葉にできないものです。人の行動は、ほとんど無意識がつかさどっています。歩きだすときにどちらの足から前に出そうか?なんて考えませんよね。
先に述べたように無意識領域は意識領域よりもはるかに広く、それが行動を決めているのですから、「怒らずに部下の話を聴こう」と意識では思いながらも、ついつい「バカ、なに言ってるんだ!」が口をついて出てしまうのは、当然のことなのです。
「言っていることよりも、やっていることを見た方が、その人の本当の姿が見える」というのは、こういったメカニズムがあるからです。
「本当はやりたくないんだけど…」と思いながらも、しょうがなくやっていることって、ありますよね。そういうときは何かこころの奥底がモヤモヤして、つかえた感じがします。これは無意識のメッセージに気付いている、ということです。「こんなことに悩んでもしょうがないのに…」「ウジウジしている自分が嫌いだ」などとネガティブに考える人もいますが、実は、とても自然で好ましいことなのです。
逆に、全く悩むことなく上司からの命令に従っている人もいますよね。モヤモヤもウジウジもせず、素早く行動する。上司の受けもいい。出世が速い。うらやましく感じることもあるかもしれません。でも、そういう人は無意識のメッセージに鈍感なのです。本当は苦しい、つらいのに、それに気づかない。これを長期間にわたって続けていると身体の不調となって表出する怖れがあります。私の知り合いの中にも、ものすごくエネルギッシュに働いていたのに、あるときバタッと倒れてしまった人が何人もいます。
無意識のメッセージに気付く方法については、また改めて説明させていただきます。
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