「聴く」と「聞く」と「訊く」の違いは?
「人の話を聞くことが大切だ。」
よく耳にする言葉ですよね。
「耳にタコだよ、あたり前だ」といって聞き流す前に、
その意味について、少し考えてみましょう。
そもそも「聞く」とは何でしょうか?
私は、3つの「きく」があると思うのです。
まず、1つ目は「訊く」。
「駅はどっちの方向ですか?」と道を訊かれたときなど。
知っていれば、思い出す必要もなく、反射的に答えられます。
知らなければ「知りません」と答えるだけです。
訊く人も訊かれる人も、ほとんど頭をつかうことはありません。
2つ目は「聞く」。
「以前に同じトラブルってありました?」など。
相手の経験や専門知識などを教えてもらうことです。
聞く人は質問を考えますし、
聞かれる人は、記憶を探って答えます。
どちらも頭を使います。
そして3つ目は「聴く」です。
「聴く」という文字には、耳だけではなく目と心が含まれています。
聴く側は、頭だけでなく心(感情)も使って、
相手の表情をしっかり見て、共感しながら聴くのです。
その質問内容も、たとえば、
「本当に困っていることは何ですか?」
「何が本当の望みなのですか?」など、
相手が、普段意識して考えたことがないことを聴くのです。
考えたことがない質問に、すぐに答は浮かんでこないでしょう。
でも、じっくり考えているうちに、
「あっ、これだ!」とか、
「やっぱり、そうなんだ!」
といった気づきが、
答が見つかった喜びの感情と共に生まれるのです。
「気づき」とは、聴かれた質問を深く考えることによって、
無意識領域にあった「モヤモヤした答」が言語化されることです。
「気づきを得た」「アイデアが生まれた」とは、このプロセスの結果なのです。
答の言語化は、前意識領域が無意識領域に拡がることで起こります。
人は気づき(言語化)を通じて、前意識の面積を拡げていくのです。
この積み重ねが人の成長なのです。
「訊く」と「聞く」は聞く側が「知りたい」から行う行為。
自分中心の行動です。
一方で「聴く」は「相手の能力を高める」行為。
相手を中心にして考える行動です。
自分のことを一番に考えてくれる。
そんな人なら誰でも好きになりますよね。
だから「聴く」ことだけで対人関係は改善されるのだと思います。
「訊く」こと、「聞く」ことしかできていなかった。
そう気づかれたのなら、改めて「聴く」努力をしてみましょう。
相手のためにしっかりと時間をとって、
自分の言いたいこと、善悪・正誤の判断は横に置いて、
相手の感情で自分の感情を震わせられるように努力しましょう。
これができれば、人生は素晴らしい方向に変わっていくと思いますよ。
コメント
コメントを投稿