組織の軸を定めることで「適応を要する課題」に対応していく

組織の軸を定めることで「適応を要する課題」に対応していく








日本は高い技術力で世界に名だたる先進国になりました。

その要因の一つは、みんなで、真面目に、頑張って仕事に取り組む。

それが「会社人の美徳」だという風土があったからだと思います。

 

この時代の社員は、会社という枠の中で動いていました。

和を乱すことなくルール、マニュアル、慣習などに従って働いていたのです。

この枠は「守られている」安心感を社員に与えてくれていました。

まじめにコツコツとさえ働いていれば仕事は与えられる。

そして給料は年々増えていく。

定年後は年金で楽しく暮らせる。

つまり、将来の幸せのために、いまを我慢して生きることができたのです。

 

この形が、いまは大きく変わりつつあります。

情報が瞬時に世界中に広がる時代です。

「これを作って売れば確実に儲かる」商品はありません。

(もし、あれば、誰かがすでに売り出しているでしょう)。

いままでの枠では対応できなくなってきています。

 

新たな枠をあわてて作っても、その間にすでに環境が変わっていて使い物にならない。

そんな時代だから、枠で管理するという考え方自体を変えないといけないのです。

固定した枠は持たず、環境の変化に合わせて現場が柔軟にやり方を変える。

そんな組織を目指すのです。

 

しかし柔軟に形を変えることは、組織に混乱をもたらします。

社員が勝手に動き出すと(そんな社員は日本の会社では少ないとは思いますが…)、

遠心力が強くなって、組織が崩壊してしまうおそれがあるのです。

これでは本末転倒です。

 

柔軟に変化しながらも組織力(向心力)をしっかりと確保する。

そのために何が必要になるのでしょうか?

それが「軸」だと私は思っています。

 

軸があるからバラバラにならない。

フラフラとどこかに飛んでいくことがない。

全体がひとつになって柔軟に形を変えていけるのです。

この軸がいわゆる「ミッション・ビジョン・バリューズ」です。

 

ミッションとは組織の使命です。

「何のためにこの組織が社会に存在しているのか?」

「私たちは、この組織で社会に対して何を提供していきたいのか?」

「私たちの組織が社会に存在していることに、どんな意味があるのか?」

といった問いに対する答です。

 

ビジョンとは社員が共有できる「夢」です。

「5年後には、こんな職場になっていたい。」

「10年後に、会社がこんな形になっていたらワクワクする。」

「社会から、こんなふうに見られる会社になりたい。」

といった未来のある時点において、社員が望む「ありたい姿」です。

 

バリューズとは、メンバー一人ひとりが大切にする行動基準です。

「頼まれたら、まずはYESと言ってみる。」

「互いに人間として尊敬しあう。」

「わからないことがあれば躊躇なく質問する。」

「思っていることは主張するが、決定事項には従う。」

など、日々の行動や態度を規定するもので、判断に迷ったときに頼るべきものです。

 

この3つが本当に共有できると、組織の中に信頼感と安心感が生まれます。

そうなると、人は初めて主体的にチャレンジできます。

(誰も助けてくれないし、失敗したら思いっきり叱られ、バカにされる…、

そんな組織では誰もチャレンジしませんよね)。

そして柔軟にスピーディーに変化に対応できる組織に生まれ変われるのです。

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